第2回 港町、船と潮の香りに誘われて……

船がある風景は非日常の風景だ。船がいるだけで昂る。

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以前は山を切り拓いたニュータウンに住んでいたが、最近海の近くに居を構えるようになり、この歳になっても初めて見たり知ったりするものが多くあり新鮮な体験をしている。その最たるものはポートターミナルに雄々しい姿で訪れる船の数々だ。

2017年は神戸開港150周年ということもあり、例年よりも多くの客船を誘致してるようだ。海の側に住むまではポートターミナルのイメージは正直に言ってしまうと、閑散とした寂れた暗いイメージで、ポートアイランドに行くときにポートライナーでただ通り過ぎるだけの駅というものだった。今は全く違う。

最近の客船でのクルーズ旅行ブームもあるのかもしれないが、こんなに船が行き交っているとは思っていなかった。客船が停泊すれば外国人の方もいっぱいやってくるし、何といっても大きな船を見るだけでテンションが上がりまくる。

外国客船「ノーティカ」来航
風船を飛ばして歓迎ムード

上の写真2枚は外国客船「ノーティカ」が2017年2月25日に来航したときのものだ。入港お出迎えイベントとして客船フェスタ2017が開催されると聞いていて、初めて客船の来航を見物に行ったときのものだ。神戸山手大学ブラスバンドによる歓迎演奏をBGMに、神戸市消防艇の歓迎放水を受けながら入港してくる。(消防艇の歓迎放水は大型客船が来航するときは時間を問わず行われているみたいだ。)風船を飛ばして歓迎ムードはMAXになる。青空・風船・外国の船って組み合わせが、アナログ感というか昭和感というか、ノスタルジックなのんびりとした世界感を醸し出しているように感じる。

2017年の目玉は何といっても「クイーンエリザベス号」の来航だろう。

「クイーンエリザベス号」の来航
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神戸入港は2年ぶり3回目だったそうだが、発着クルーズを行ったのは日本初だったらしい。神戸頑張った。3月13日(月)と20日(月・祝)に2回来航したのだが、両日とも到着が早朝6時で、1回目は平日だったこともあり、2回目に勝負をかけた。

朝6時着ということは5時過ぎくらいには入港が始まっているということだ。その事実に涙目になりながら早起きを頑張った。カメラを携えた方々が、北公園にもポートターミナルにもすでに大勢集まっていっらっしゃった。もっと多いかなと思っていたが朝が早すぎた。

早暁の闇に浮かび上がるクイーンエリザベス号の存在感は圧倒的だった。ライトアップされた放水も幻想的に浮かび上がる。船のゆったりとした優雅な動きにあわせて、船に押し出された波もゆったりと優雅に岸に迫ってくる。全てが幻想的だった。

移動する超巨大超高級マンション
移動する超巨大超高級マンション
神戸大橋が小さく見える。

移動する超巨大超高級マンションという形容が僕の中では一番しっくりくる。巨大すぎて普通のカメラのレンズでは全景が入りきらない。顔を出す乗客や作業している乗組員さん、時には恐らく船長であろう方も顔を出し、手を振り合う光景も素敵だ。なによりみんな笑顔だ。

この船の巨大さが伝わるだろうか。神戸大橋が小さく見える。

外国人観光客向けのお土産物屋さん
外国人観光客向けのお土産物屋さん

外国客船が来航するとポートターミナルの中には外国人観光客向けのお土産物屋さんが立ち並ぶ。これが面白い。NIPPONを惜しげもなく全面に押し出した商品がズラリと並ぶ。昭和の観光地の空気感が漂う。日本刀型の傘とか垂涎もの。翌日持ってたご近所さんがいてちょっと羨ましかった。。。

ポートターミナルに来る船は客船とは限らない。この3隻を見たときは心が震えた。おっさんはいくつになっても少年の心を忘れない。

海上自衛隊護衛艦「はるさめ」
海上自衛隊護衛艦「はるさめ」
海上自衛隊護衛艦「はるさめ」
海上自衛隊護衛艦「はるさめ」

3月21日と22日に海上自衛隊護衛艦「はるさめ」が神戸港に寄港していた。全然知らなくて、偶然ポートライナーからその姿がチラッと目に入り、思わず2度見。車内みんなが騒然とした雰囲気になっていた。その日は予定の時間があったので泣く泣くそのまま行き過ぎたが、翌日出勤前にいつもより早出してじっくりと撮影させてもらった。艦内の見学もあったらしいが平日だったので仕事のため諦めざるをえなかったのが悔しい。

ワールドオデッセイ
ワールドオデッセイ

上の2枚は「ワールドオデッセイ」という客船。小型だけど結構頻繁に寄港している。2枚目の写真のようにターミナルからチラッと見えるこの姿から僕は「木馬」と勝手に呼んでいる。

大半の人にとって、船がある風景は非日常の風景だ。船がいるだけで昂る。さらにロケーションも最高だ。眼前に広がる六甲の山並みと神戸の港、真っ赤な神戸大橋とくれば何も言うことはない。

神戸の港は宮崎と神戸を結ぶ定期便や天津や上海に行く船などもあり、汽笛の音が絶えない。汽笛というやつはノスタルジックな気分を増幅させる。武骨で甚だしく大きな音を早朝であろうが夜中であろうが容赦なく響かせるのだが、何故かうるさいと感じない。汽笛を聞いた瞬間に現実が映画フィルムの世界に変わってしまう。自分が映画の登場人物になったような錯覚を覚える。そんな自分に酔ってるのかもしれない。だがそれがいい。

ポートターミナルに癒されて生きている。

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